ディオゲネスの宴

漫画の紹介と、感想を書いていきます。 『BLAME!』全話紹介&解説を書き終え、現在は浦安鉄筋家族について書いてます。桜井のりおは神。

『いきいきごんぼZ』64ごんぼZ(週刊少年チャンピオン2014年 36+37合併号)について

いきいきごんぼZは週刊少年チャンピオンで連載しているギャグ漫画だ。

 

 

いきいきごんぼZ 5 (少年チャンピオン・コミックス)

いきいきごんぼZ 5 (少年チャンピオン・コミックス)

 
やってくれた喃、睦井

さてこの64ごんぼZは、主人公の一人技野(テクノ)の家にヒロイン?今木麻紀が遊びに来る回だった。中学生男子の家でふたりきりなって、ゾンビ映画を二人で見て、端的にいえばいい感じになる。漫画6ページ1コマ目の今木の右手の位置など、完全に相手に好意のある者が置く手の位置となっている。

 

ちょっとまえから、この二人にはいわゆる恋愛に発展しそうな兆しはあった。でもだ。そもそも主人公たちはモテないスクールカースト下位であることがこの漫画のギャグの肝になっているわけだから、この展開は大方の予想を裏切るものだっただろう。

 

こういう展開になるのが好きな読者がかなり多いと思うが、こっから更に関係が進展するかっていると、常識的には、微妙な話だ。

 

しかしチャンピオンのギャグ漫画の先輩には『マカロニほうれん荘』の主人公の沖田そーじとヒロイン?益田弘美なんかの事例もあるから、普通に付き合っちゃうってのも可能ではある。

マカロニほうれん荘 (5) (少年チャンピオン・コミックス)

マカロニほうれん荘 (5) (少年チャンピオン・コミックス)

 

 

恋愛と進級と

さて、『いきいきごんぼZ』は明るくギャグばっかりやっているだけじゃなく、そこにどこか青春時代の古傷を疼かせるような「切ない」展開を重ねて描写することがある。割とある。そんな部分に、今回の仄かな恋愛へと向かう両者の心の機微を絡ませるようなことがあれば、すごくしっくりくる。

 

またちょっと話が逸れるが、こうした「切なさ」は、主人公たちが作中で進級するか否かと密接にかかわっている。『ごんぼ』では中学1年を1年やって進級し、現在2年目の中学2年をやっている。中学3年生や高校時代の『ごんぼ』を描くことで、青春時代の「切なさ」をより表出できるのではないかと思う。

 

こうした主人公たちの人生を進ませる手法を取った漫画には『アフロ田中』シリーズがある。中退とかするけど。

さすらいアフロ田中 10 (ビッグコミックス)
 

 

いきいきごんぼZ』はうんこなどの下ネタ満載のギャグ漫画。常識的には恋愛要素は不要だし、主人公たちを進級させなくてもよい。しかし、そうした常識・定石や私たちの予想をはるかに裏切るような展開を今後も楽しみにしている。