ディオゲネスの宴

漫画の紹介と、感想を書いていきます。 『BLAME!』全話紹介&解説を書き終え、現在は浦安鉄筋家族について書いてます。桜井のりおは神。

【BLAME! 全話紹介&解説】LOG46 仮接続認証線

シボたちが、合流した霧亥に事のあらましを告げる。霧亥たちはカプセルを奪還しに敵の本拠地に向かう。珪素生物の拠点では、仮接続が始まっていた。

 

・臨時セーフガードの二人は霧亥を認知することができない。人間ならば、ネット端末の有無に関係なく保護の対象になる。霧亥は人間だが、セーフガードとして登録され、そして抹消された。そもそも、セーフガード以前のシステムの密使でもある。だから、臨時セーフガードの二人は霧亥に対してどう扱っていいのか解らない。だから認知しない。

・霧亥一行は珪素生物の根拠地を目指すのだが、会話は少ない。

 

・古い金網を通るドモチェフスキー。近くには、古い住宅のような都市空間がある。ここにドモチェフスキーは自身も良くわからない古い道具を置く。ここは非常に印象的なシーンで、好きな人も多いのではないか。人が住んでいた跡を、古い建設者が下の階層から持ってくるのだそうだ。ここからは、基本的には都市は上へ上へと伸長するという、当たり前とも言える構造が地味ーに明らかになる。かなり古い、遺跡のようなものを建設者は持ってくるわけだ。ドモチェフスキーはどこかで拾った古い何かを、そこへそっと置く。この世界は電気は潤沢なようで、古い部屋にも明かりがついている。さてさて。ドモチェフスキーやイコ、あるいは霧亥もそうだけれど、太古の昔、本当に生身の人間として存在していたのではないだろうか。生身でセーフガードになって、やがてそのデータがセーフガードの電子的な媒体に記録された。霧亥は特別で、ずっと生身のまま身体が用いられた。あるいは、それに近い時の長さを、同じ身体で過ごしている。ドモチェフスキーが古い部屋や道具にこだわるのには、そんな理由がありそうな気がする。彼らも、実は「古い部品」と言いうる存在なのかもしれない。ちょっと妄想気味だが。

・私のシャチハタの印鑑ケースがちょうどドモが拾った道具にそっくり。この電脳世界では部品に見えるかもしれませんが、あれは私たちが普段何気なく使っているものがあの世界に遺物として描かれているのかもしれない。

・古い部屋。時計があったり、鉄を加熱して温める暖房設備みたいなのがあったり、今の世界にある電気のスイッチみたいなのがあったり。蛇口があったりタイルの床があったり。

 

・仮接続。川のイメージ。仮接続認証線とはここのことを指すのだろう。セウの遺伝子で申請するから、ここでリンベガはセウの姿をしている。だが、統治局には一目瞭然で、珪素生物はネット接続できない旨を通告する。けれども、リンベガの予想の通り審査は通ってしまう。統治局は警告するも、強制排除など実効は伴わない。それはセーフガードの役目で、そしてセーフガードは審査を通して機能しないからだ。統治局に出来ることと言えば、認証線を拡張して時間稼ぎをする程度。リンベガはそれをあざ笑う。