ディオゲネスの宴

漫画の紹介と、感想を書いていきます。 『BLAME!』全話紹介&解説を書いて行っているのですが、大分放置しておりすみません。

【BLAME! 全話紹介&解説】LOG39 第一種臨界不測兵器

対峙する霧亥とドモチェフスキー。互いに網膜を走査する。その後の戦闘では、ドモチェフスキーが霧亥を失神させることに成功する。珪素生物たちも、霧亥らの戦闘を感知していた。気を失っていた霧亥は、エレベーターに乗せられ、非公式超構造体の外へ運ばれそうになる。エレベーターのガイドを倒して、霧亥は非公式超構造体の内部に脱出する。

 

・霧亥とドモチェフスキーの網膜走査の応酬。これは非常に示唆に富む描写だ。まず、霧亥のドモへの走査。セーフガードである旨が表示されている。その前に 何か接頭語が付いているように見える。霧亥は、ドモが臨時セーフガードであることを把握することが可能だっただろう。
・霧亥とドモチェフスキーの網膜走査の応酬、その2。イコは第一に、霧亥の持つ兵器へ言及する。ドモは「規定通波」に応答しないことを理由に攻撃が可能と いう。セーフガード同士の網膜走査の交換では、規定通波をやり取りすることで「味方」と認識するのだろう。それが欠けると、攻撃してオッケー。慎重なイコ は、網膜走査を拒否しないことを理由に、もう少し様子を見るべきという。まとめると、「網膜走査許可or拒否」のステップがあり、次に「規定通波への応答」 のステップがある。セーフガードも色んな状態があるのだろう。味方と判断するにいろんな段階を踏む。
・霧亥とドモチェフスキーの網膜走査の応酬、その3。霧亥の側から、この走査について考えてみよう。霧亥は身体をセーフガードとして用いていたことがある 。サナカンの台詞からこれがわかるわけだ。だが、現在の状態では霧亥はセーフガードの機能を削除され、記憶も失っている。サナカンの微小構成体を入れられ たのに、セーフガードとしては復活しなかった。網膜走査は機能として残されたが、セーフガード流の「規定通波」による交信は失っていた。よってこのような 振る舞いになる。


・霧亥の出自についてまとめると ①警官時代②セーフガードの密使時代③セーフガードの機能を削がれた作中の霧亥 と大別できるのではないだろうか。②の 時代は、セーフガード的な要素を備えつつ(偽装セーフガード)も、なにか元来の組織の密使としての要素を兼ねて保持していたのだろう。そこから③の時代に 、ごっそりと記憶とセーフガードの機能を削がれて、ただ強力な兵器を持ってネット端末遺伝子を探すだけの霧亥が生まれた。
・霧亥とドモチェフスキーの網膜走査の応酬、その4。ということで、イコによれば、霧亥には精神処理装置に障害があり、かつ登録コードを削除された跡があ るという。これは極めて重要な指摘だ。セーフガードとしての(あるいはもともとの素体をも含んだ)精神処理装置は機能不全になっている。少なくとも、イコ はセーフガードとして霧亥の行動を予想できない。登録コードの抹消はいつ行なわれたのか。サナカンと戦った時だろうか。あるいは、今の霧亥になったとき、 と考えると面白いかもしれない。犬女の一派が、霧亥を何らかの方法で鹵獲した。その際に、セーフガード的な部分を削って運用した。もともとセーフガードに は密使として入っていたのだから、削っても、霧亥には何かが残る。サナカンは修復を試みたが不可能だったために、霧亥を正式にセーフガードから外した。

 

重力子放射線射出装置を一時的にロックするイコ。これって結構すごい。セーフガードだからできるのだろう。

 

・ドモチェフスキーのねらい①。霧亥の腕を狙う。これで霧亥は意識を失って、階層に来た際のエレベーターに押し込められ返される。これも色々考えさせられ る行為だ。まず、ドモは霧亥の破壊を目論まなかった。これはシボを霧亥から引き離すためだろう。シボはネット端末遺伝子を持っていないけれど、人間。セー フガードは、本来なら人間を守る存在。非公式超構造体で造成された臨時セーフガードゆえに、遺伝子の有無にかかわらず人間を守るのだろう。
・ドモチェフスキーのねらい②。意識を失った霧亥をなぜ破壊しなかったのか。あるいは放置しなかったのか。霧亥を階層の外に出す、という判断。セーフガー ドの登録を抹消された霧亥。しかももともとセーフガードの密使でもある。やたら頑丈で、記憶を失って活動している。第一種臨界不測兵器も持ってる。霧亥を どうするか、臨時セーフガードでは判断できないのだろう。何千キロと離れた出口に放置する手段を取った。