ディオゲネスの宴

漫画の紹介と、感想を書いていきます。 『BLAME!』全話紹介&解説を書き終え、現在は浦安鉄筋家族について書いてます。桜井のりおは神。

【BLAME! 全話紹介&解説】 LOG5 脱出

霧亥は村に到着したが、既に襲撃された後だった。唯一の生存者を背中に負って、近くの村に脱出を図る。そこに現れたのは駆除系と呼ばれるセーフガード。村人の装備ではセーフガードの外殻素材は破壊できないが、霧亥の重力子放射線射出装置ならば貫通可能。セーフガードを退け近くの村に到着したが、背負った生存者は駆除系の攻撃で息絶えてしまった。

 

・少年セーフガードに言われた40階層上の集落。襲撃されて一人しか生き残っていない。生存者から統治局の話を聞く霧亥。霧亥全然記憶なし。統治局の事も知らない。画集の説明にもあるが、彼らは統治局とセーフガードとを区別していない。物語が進むにつれて、統治局とセーフガードとの微妙な関係は明らかにされていく。また、建設者もここで初登場。建設者についてもこの辺りの住人は誤解している様で、統治局が当時のテクノロジーを復活させた、と説明する。多分復活させた、というよりかは、古代からそのまま継承されてこの時代に至る機械群だろう。この集落の住人は、このようにかなり統治局や建設者に対する認識があやふやになってしまっている。網膜に映る表示の意味もわからないと言う。テクノ遊牧民もネット接続の事を知らなかったから、こういう、かつての繁栄について忘却の彼方にあるのがこの時代の一般的な人類なのだろう。どこかで継承が途絶えてしまったわけだ。それでもこの集落の脳髄技師が高い再生技術を持つようで、瀕死の人間が助かるとの描写がある。独自に科学の発展を成し遂げているようだ。これはテクノ遊牧民も塊都の人々も同じ。ネットに接続せずとも科学は進歩する。これはBLAME!世界を考える上で重要なファクターだ。


・駆除系。この付近の集落の武器では壊せない。この後、東亜重工編に出てくる電基漁師たちの武器は駆除系に穴をあけることができる。古い時代の企業(?)、東亜重工由来の武器だ。この辺りからは、駆除系を構成する素材(古代の素材)を砕く方法がロストテクノロジー化してしまっていることがうかがえる。塊都の科学力だとどうだろうか。駆除系倒せるかな? いけそうな気もするが…。とにかくこの集落の人々はかなり別のテクノロジー進化の歩みをみせてしまって往時を忘れてしまっているのだろう。そして駆除系を敵として戦っているが、近くに造換塔でもあるのだろう。


・しかし今回は分が悪かった。上位セーフガードが出てくるし、きっとそれに連れられてたくさんの駆除系がやってきて防ぎきれなかった。これはひとえに、近くを珪素生物がうろついていたことに起因しよう。上位セーフガードは珪素生物のための兵器だ。この集落はいわばとばっちりを食ってしまったのではないだろうか。多分普段はもっと駆除系は少なかっただろうし動きも限定的だったのだろう。でなければ戦える武器もないのに集落を維持出来ないはずだ。

 

新装版 BLAME!(1) (KCデラックス アフタヌーン)

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