ディオゲネスの宴

漫画の紹介と、感想を書いていきます。 『BLAME!』全話紹介&解説を書き終え、現在は浦安鉄筋家族について書いてます。桜井のりおは神。

2014年もよろしく!てな感じで今年も注目していきたい漫画

あけましておめでとうございます。年のはじめということで、2013年面白かった漫画、2014年も続きが楽しみな漫画(漫画家)を挙げて行きます。

 

今年注目すべき●●つの漫画!みたいに格好つけることができればどんなにいいのだろうが、そんなん私には無理だ。ま、適当にやっていきましょう。今年もよろしく。

 

尾玉なみえマコちゃんのリップクリーム

尾玉なみえはどう考えても天才の部類に属する漫画家だ。

 

マコちゃんのリップクリーム』は2007年から現在まで続いており、ほぼ唯一のなみえの長期連載と言える。そのためなみえの興味関心や描きたいモチーフの変遷を割と的確に追うことができるテキストになっている。

 

『マコ』は、鮮烈にジャンプで連載し打ち切られて以降、2003~から2005年あたりの難解で混迷した作風(だからこそ面白いのだが多分誰の得にもならない)から抜け出したなみえの今の姿を伝える格好の素材だ。2014年。私たちは今、尾玉なみえという漫画家の円熟を見ている。

 

このように書いてきたわけだが、尾玉なみえは本当に好き過ぎて魅力を上手く表現できない。少なくともいえることは、私のここ10年の漫画の読み方を決めたのは尾玉なみえだということだ。これからもずっと読んでいきたい。

マコちゃんのリップクリーム(9) (シリウスコミックス)

マコちゃんのリップクリーム(9) (シリウスコミックス)

 

 

施川ユウキ

『オンノジ』が『この漫画がすごい!2014』にランクインしていたようだが、今年出た施川作品のなかではむしろ『バーナード嬢曰く』と『鬱ごはん』のほうが元来の施川ユウキらしい作風と感ずる。SFを中心にした文学・映画に関する蘊蓄や、そうしたものから導き出されるグロテスクな描写、およびそうしたものに対する考察・一人語りは、連載デビュー作『がんばれ酢めし疑獄!!』以来の施川が得意とする分野だろう。

 

そうした豊潤な知識体系に導かれた形で、昨年は、最終的には恋愛ものへと展開していく『オンノジ』を完結させた。いわばこれは、施川が恋愛ものへと「牙を剥いた」形と言える。そのような部分に『この漫画がすごい!2014』の脚光があたり、これから施川はどういう作品を生み出していくのか今年も楽しみだ。

バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)

バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)

 

 

平本アキラ『監獄学園』

去年個人的に「すごい」と思ったのがこの漫画。前作『アゴなしゲンと俺物語』は、しっかりギャグ漫画という建前で漫画が描かれていたから、おバカな展開が来るのはいわば当たり前だった。

 

しかし、当作ではどうだろうか。『監獄学園』の登場人物たちは、一見するとそうしたギャグ漫画の世界から離れた場所から、ノーステップでおバカなことをし始める。しかも当人たちはひどく真面目におバカをやる。

 

『監獄学園』はこうしたノーステップで笑いに迫るあり方(特にエッチな展開を絡めるあり方)が、非常に巧みなのだ。これはもちろん前作からの経験が活かされているのだろう。

 

そしてこの漫画はこうした笑いへのノーステップ性のせいで、なんというか既存の漫画分野にカテゴライズしづらい漫画と感じる。いわばノンジャンルなんだけど、だからこそ面白いというか。選挙の候補者が、無所属が無所属ゆえに得票数を集める場合があるが、そんな感じだろうか。

 

監獄学園(1) (ヤングマガジンコミックス)

監獄学園(1) (ヤングマガジンコミックス)

 

 

(次回も続きます。多分)