ディオゲネスの宴

漫画の紹介と、感想を書いていきます。 『BLAME!』全話紹介&解説を書いて行っているのですが、大分放置しておりすみません。

【ゾロリ4】かいけつゾロリの大かいぞく

ゾロリでも読むか。 こののちゾロリシリーズの一つのストリームとなっていく「大(グレイト)」シリーズ第一弾が通算4作目で登場だ。その名も『かいけつゾロリの大かいぞく』。 溺れている海賊船長の遺言をもとに、ゾロリ一行は海賊船に乗り込む。はたして船…

若杉公徳『デトロイト・メタル・シティ』

若杉公徳『デトロイト・メタル・シティ』とはなんだったのか。 2005年から2006年ころ、ネットにおいて圧倒的な歓迎を受けた本作は、大人しい主人公が豹変するデスメタルの世界を面白おかしく描いた作品とよく紹介される。一方でデスメタルに通暁する人々から…

『バーサスアース』の打ち切りについて

週刊少年チャンピオンで連載されていた『バーサスアース』という漫画が突然終了してしまった。私はこの漫画が大好きで、今年注目したい漫画の一つだった。やーん。 チャンピオンではよくある、伏線投げっぱなしの突然の終了だった。敵味方含めたキャラクター…

尾玉なみえ『マコちゃんのリップクリーム』10巻の感想

尾玉なみえという漫画家は、その作品が打ち切りされることが多い。その是非はここでは措くとして、打ち切られるあたりから作品のテーマが迷走し、本当にわけがわからなくなってしまうことは尾玉作品ではよくあることだ。 (ただし、この打ち切り間際のなみえ…

尾玉なみえ『少年エスパーねじめ』にみる「ツンデレ」現象の萌芽

まず何が言いたいかというと、尾玉なみえは紛れもなく天才だということ。 そしてだ。00年代の雰囲気を因数分解したとき、おそらく大きな因数として「ツンデレ」という概念が現れるだろう。「ツンデレ」は概念化され激しく用いられ損耗し、00年代後半には再び…

それと今年2014年は服部昇大氏の作品が読みたい

前回の続き?じゃ。 まあ標記の通りなんだ。かつて『魔法の料理かおすキッチン』を連載していた服部昇大氏の連載作品が今年は読みたい。 この人はすごい。なんかプリキュアや照英や日本語ラップにやたら詳しいし、70年代少女マンガ風?(この辺り実際そうな…

2014年もよろしく!てな感じで今年も注目していきたい漫画 その2

前の記事の続きじゃ。 ④市川春子『宝石の国』 やっぱり市川春子はすごかった。初の連載作品で、どうだろうか、と思っていたところだったけど、改めて、すごかった。まず単行本の装丁がいい。彼女の専門分野といってもいいだろう「硬質なモノ」の持つ質感が、…

2014年もよろしく!てな感じで今年も注目していきたい漫画

あけましておめでとうございます。年のはじめということで、2013年面白かった漫画、2014年も続きが楽しみな漫画(漫画家)を挙げて行きます。 今年注目すべき●●つの漫画!みたいに格好つけることができればどんなにいいのだろうが、そんなん私には無理だ。ま…

TISTA

カッコいい戦う女の子を描かせたら当世随一、遠藤達哉氏による作品。凄腕の少女スナイパーの活躍と、それに比例して増大していく自己の葛藤とを描く漫画だ。 TISTA 1 (ジャンプコミックス) 作者: 遠藤達哉 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2008/06/04 メデ…

パープル式部

ディオゲネスの宴は『パープル式部』を応援しています。 この漫画はヤングジャンプで不定期に掲載される漫画だ。流行の言葉や、ネット上の流行ジャーゴンをまぶしながら、結婚コンサルタントのパープル式部が29歳独身の青木ちゃんにからむ、という謎のコンセ…

【ゾロリ3】かいけつぞろりのまほうつかいのでし

ゾロリの感想を書いていくぞ。なお、この本はわが町の図書館の閉架書庫にあったものだ。わざわざ司書さんに出してもらったぞ。甥っ子に見せます的な体を装ってな! かいけつゾロリのまほうつかいのでし (3) (かいけつゾロリシリーズ ポプラ社の新・小さな童…

【ゾロリ2】かいけつゾロリのきょうふのやかた

ゾロリの感想を書くぞ。ゾロリシリーズ第二段は「かいけつぞろりのきょうふのやかた」というタイトルで刊行された。 内容を見ていこう。ある日ゾロリは「おおかみ男」「ドラキュラ」「ゴーゴン」「ミイラ男」と出会う。彼ら四体の妖怪は人から軽んぜられてお…

完全コミック版 グラハム・ハンコック『神々の指紋』

かつて一世を風靡したオカルト本『神々の指紋』の内容をコミックにしたもの。南極大陸にかつて超古代文明があり、エジプトや中南米などの文明へその知識が継承されたというのが大まかな論旨だ。日本で流行ったのは1996年から1997年くらいの時期だ。コミック…

青の祓魔師

この漫画にはもうほんと、あんまり言うことはなくて、冷徹に計算された構成・ストーリー・キャラクターの上に作者の趣味(大勢の人が共感可能な)が充分に発揮された、和製ダークファンタジーの現在の最高到達点とも言いうる作品だ。 青の祓魔師 1 (ジャンプ…

シドニアの騎士11巻の感想

12巻の感想はこちらです。 弐瓶勉は多分「ヒロイン候補」にこれから残酷なことをすると思うよ。 シドニアを彩る「ヒロイン候補」 『シドニアの騎士』は弐瓶勉的サイバーパンクSFの最新鋭の実践の場だ。人間という存在が大きな科学力の前で変形され、一般的…

斉木楠雄のΨ難

今ジャンプで読むべきはこれ。まさにこれ。 主人公斉木楠雄は万能の超能力者で、超能力を使役してあらゆる漫画でありがちな「お約束」を面白おかしく打破しギャグにする。斉木以外の登場人物もみな個性的で「濃い」連中で、一見すると無敵に見える斉木の日常…

かいけつゾロリのドラゴンたいじ

ついに私は恥ずかしさを乗り越えて図書館で『かいけつゾロリ』の刊本を借り出すことに成功した。今後、適宜一冊ごとに感想を述べて行きます。 『ゾロリ』から考えよう。 そのねらいは以下の通りだ。『ゾロリ』のような絵本は、子供たちがマンガを楽しむため…

4コマよみに与ふる書

2014年2月3日追記 大きく取り上げ引用したにもかかわらず、アンサイクロペディアの「4コマ読みに与ふる書」項(現在はUnbooksに移行)を「四コマ読みに与ふる書」と誤記していました。 ここにお詫びして訂正します。 今回は毛色を変えて、「4コマ漫画」論と…

本当は『かいけつゾロリ』の感想を書きたい

ブログを始めた目的は、普段なんのことなく読んでそのままのマンガについて、なにか書きのこせることはないか、と挑戦するためだった。幾度かブログを変えてチャレンジしているけれども、思い入れの強い漫画ほど、言葉で言い表すことが難しい。尾玉なみえと…

本当に伏線は回収しなくてはならないの?(浦沢直樹『MONSTER』)

浦沢直樹『MONSTER』。この漫画は浦澤のキャリアの中で、最近の『21世紀少年』『BILLY BAT』に連なるミステリ漫画路線の起点になった漫画だ。 この辺りから浦沢を評して「導入は面白いが風呂敷の畳み方がよろしくない」だとか「5巻くらいまで面白い」だとか…

西村ツチカ『なかよし団の冒険』『かわいそうな真弓さん』

いま最も挑戦的な漫画家といえば西村ツチカだろう。 新しいものに対してはなかなか言葉を持ちえない。既存の言語で語れない。だから新しいのだ。ここ2年の西村ツチカはまさにそんな感じで着実に力を伸長してきた。要は、とにかく凄いのだ、読んどけ!ってこ…

麻宮騎亜『快傑蒸気探偵団』

この漫画は、蒸気が異常に発達した「蒸気都市」を舞台にした探偵漫画だ。ヤングジャンプ連載。主人公鳴滝は探偵少年だ。彼はスチームシティを舞台

震災後を『COPPELION』(コッペリオン)と歩む

おいおいいつの間にかアニメが始まってるじゃねーか。私は漫画しか見てないが。私たちの時代経験として読んでおかねばらなない漫画だ。 豪華なSF的ガジェット、女の子ガジェット 舞台は放射能で汚染された近未来の東京。お台場の原発がメルトダウンし、20年…

弱いぜ!植物系能力者

植物系能力者の悲哀 バトル漫画を中心に、植物系能力を駆使するor植物に由来するキャラはそれなりにいるが、いかんせん弱い。弱すぎる。 この原因は割と自明で、火や雷や氷や水を駆使する能力者に比較すれば、植物は非常にフラジャイルな存在だ。熱にも寒さ…

独身OLのすべて

たまにはwebで連載されている漫画でも紹介する。『

シュトヘル

あらすじはwikipediaによればこんな感じ。 13世紀初頭、蒙古(モンゴル)軍による西夏国(タングート)侵攻が続く時代に、「悪霊(シュトヘル)」と恐れられた女戦士がいた。 時代は変わって現代。高校生・須藤は、燃え盛る建物と死が満ちる戦場を夢に見続け…

夜明けの図書館

図書館の専門職員「司書」にスポットを当てた漫画。「司書」さんは普段、蔵書の整理や図書館での窓口業務を行なうほか、利用者が知りたいことや疑問に思っていることに対して調査し、情報を提供する業務「レファレンス」も行なう。 本作では、この「レファレ…

田中一行『イコン』

内省型主人公は今日も掛け値なしに思考をぶっ飛ばす! この漫画は、アフタヌーンで2011年5月号から2012年1月号まで連載された漫画だ。人を思いのままに操れる石板を手に入れた青年が主人公。 能力を奪おうとする敵と対峙する中で、主人公は絶対的な能力を使…

大相撲刑事

ああ大相撲刑事 この漫画はジャンプで連載されたギャグ漫画だ。ただそんなに面白くなくて、10週くらいで打ち切られた漫画だ。『大相撲刑事』は、内容があまりにくそすぎた。多分wikipediaの記事のキャラ説明のほうが漫画本編より面白い。あれは『大相撲刑事…

ヒトヒトリフタリ

このたび無事最終回を迎えたが、私は6巻までしか読んでない! この漫画の良いところは、作品の中でのキャラクターたちが抱える問題や目的がやたらとはっきりしていることだ。主人公の春日総理は寿命が定まっていて、それが明示される形でストーリーが進んで…

人間昆虫記

手塚治虫といえばこれ。連載時期は1970年から1971年。手塚のキャリアでいえば人気がやや低迷していた時代であるという。 十村十枝子という主人公の女性は、他人の能力を完全に模倣できる。あまつさえ模倣した人物を退け、なり変ってしまう。だから彼女は有望…

いきいきごんぼZ

『いきいき』と『空が』の2012年 『空が灰色だから』について触れたからには、『いきいきごんぼ』(その後『いきいきごんぼZ』に改題)にどうしても言及せねばなるまい。 同じ週刊少年チャンピオンで、同時期に連載が開始された漫画なのだが、エロ・うんこ…

空が灰色だから

「サブカル」?「サブカル」! 「サブカル」と人が言う時、その裡にどういう意味を込めているかはかなり判然としないが、阿部共実『空が灰色だから』は少なくともサブカルサブカル言われる筋の作品だった。 好意的な感想には「これを読んで圧倒された!」的…

石黒正数『外天楼』をよむ

『外天楼』は伏線回収漫画にあらず 石黒正数『外天楼』は誤読されている!(はぁ、我ながら大きく出たもんだ) 外天楼 (KCデラックス)作者: 石黒正数出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/10/21メディア: コミック購入: 34人 クリック: 529回この商品を含む…

アゴなしゲンとオレ物語

00年代を代表する下劣 この漫画は、トラック運送業を営むゲンさんと社員のケンヂを中心にした、エロ・下ネタなどくだらない内容をクソみたいに盛り込んだ21世紀初頭を駆け抜けた本当に良い意味でファック気味にシットなギャグ漫画だ。 アゴなしゲンとオレ物…

浦安鉄筋家族

前回は短い間にものすごいきらめきを見せたギャグ漫画『チェンジング・ナウ』の話を書きましたが、今回は持続的にきらめくギャグ漫画『浦安鉄筋家族』。 ある人は言う。「浦安は中学生まで」。 確かにそうかもしれない。しかし浦安の話を向けると「まだやっ…

チェンジング・ナウ

「ドッグファイター」見参 ちょっと古いけれど、ちょっぴり悲しい、忘れられない思い出の漫画。UMA『チェンジング・ナウ』。 この漫画は特撮ヒーローモノに題材を取り、その「お約束」を逆手にとってギャグ漫画にした作品だ。主人公は変身ヒーローだが、「ド…

こうの史代を考える

なんか『はだしのゲン』が大変ですね。だからこそこうの史代だ。 中沢啓治『はだしのゲン』の配架問題で揺れる昨今だ。中沢亡きあと、原爆を題材にした漫画を手掛ける作家といえば、こうの史代を挙げることができるだろう。 『はだしのゲン』が作品としてど…