ディオゲネスの宴

漫画の紹介と、感想を書いていきます。 『BLAME!』全話紹介&解説を書いて行っているのですが、大分放置しておりすみません。桜井のりおは神。

【NOiSE 全話紹介&解説】第一章 降魔術

まだ都市の暴走の無い時代。警察官の裾野結は同僚のクローサーと誘拐された子供たちを捜索していた。子供に不正な改造手術を施した現場を発見した二人。そこでクローサーは行方不明になる。署に戻った裾野は、先ほどの現場に何もなかった、と上司から告げられる。職場に武装を制限された裾野は、都市の武器屋を訪れ、そこで不思議な刃を手に入れる。そして現場に戻った裾野に、小人のような人物がクローサーの顔面の皮の一部を突き付ける。これを追いかける裾野の先にヤギ頭の人物がいて、ある教団に属していることを告げて、クローサーの身体を利用して異形の生物を生み出した。不思議な武器で異形の生物を退けた裾野は、教団の壊滅を自己に誓う。

 

・暴走前の都市。当然と言えば当然だが、その後拡大していく都市と様子が似ている。このあとあまり時を置かずネットスフィアおよびセーフガードが発足して、またある段階で都市が暴走して拡大していく。その規範になる都市の風景がここでは広がっている。

 

・誘拐された子供たち。のちのストーリーで、ネット端末移植のない子供たちが誘拐されたと書かれている。ここでは子供たちは恐らく死んでいる。技術が未成熟で実験に失敗したのだろう。すぐあとの、十字架に吊るされた大人の死体も、同じく実験に失敗した個体なのかと思っている。

・涙を流す裾野。市民登録があってもなくとも、悲惨な光景に涙を流す裾野。こういう感情を表に出すキャラクターがあまり『BLAME!』にはいないから、弐瓶作品の中でもとても印象深く心に残っている。

 

・都市。霧亥が最後の方に旅した都市の風景と似ている。拡大した都市は、以前の都市の素材をそのまま用いたり、あるいはコピーして構築するだろうから、都市の表情がなんとなく似るのだろう。

 

・裾野の職場。児童課。裾野机汚いな!!

・机上には紙媒体のもの、ペンなどの筆記具がある。まだそういう時代。上司も写真で現場を示す。

 

・上司の台詞。内部調査官が裾野にコンタクトを取ろうとしているが、上司が断ったという。とんでもなく想像をたくましくすると、この内部調査官は霧亥なんじゃないか、とか想像すると面白い。霧亥は昔から「システムの密使」的なところがあって、警察内部にも教団の調査を入れているのかもしれない。

・上司の立場。この上司はどこまで事態を知っていたのだろうか。現場の証拠は隠滅されていた。おそらくセーフガードが機密情報を守るために、教団の技術窃盗を隠ぺいしているのだろう。警察はセーフガードと職務の役割上絶対にどこか上層部でつながっている。だから教団の営為は隠される。裾野は正義感にあふれているからこの事件を解決したいと考えている。一方で、上司としては「この事件にこれ以上深入りするな」と考えているのかもしれない。上司はすべての状況を知っている訳ではないだろうが、さらに上の動向なんかから何かを察して、裾野にブレーキをかけようとしている。だから彼女の武装を制限する。そんな感じなのかも。

 

・武器屋。熱血の裾野は上司の言葉を無視して、自ら武器を購入して操作を続ける。武器屋に行く。以前に、子供に武器を売った件で武器屋と絡んだことがあったのだろう。武器屋は警官の裾野が店にいると色々営業上不都合があるから早く出て行ってくれと言っている。

・裾野は武器屋で自動小銃と刀とをゲットする。刀にはセーフガードマーク。俺いつも思うんだけれど、セーフガードめちゃくちゃ脇が甘い。なんかめっちゃ流出してる。教団に珪素基系の技術を盗まれるし、強い刀もそこらの武器屋に流れているし。そんなんだから珪素生物は繁栄し、都市は暴走するんじゃなかろうか。

・武器屋のおやじは首が痛いのか?

 

・裾野現場に戻ります。すると小型の教団員が。煽りのセンスいいな、と思う。クローサーの顔の皮半分くらいを裾野に見せつける。こういうおどろおどろしい雰囲気が『NOiSE』の魅力だろう。

・追いかける裾野。マフラーがほどける。マフラーがあるおかげで、寒い時期であり、季節があることがなんとなくわかる。まだ季節のある時代だということ。

 

・追いかけた先。これ、クローサーまだ生きてるよな……。脳みそに直接ジャックしている。他のは頭蓋骨の端末に刺している感じなのに。脳みそぶっさし。

・教団関係者のセリフ。ネットのカオスが生みだした力を呼び出す事に成功した。具体的に何をやっているかというと、セーフガードの技術を盗んで、人体を媒体に駆除系を生みだしている。ネット上に駆除系造成のシステムデータがあって、それを人体に施す。『BLAME!』では、基底現実に媒体なくダウンロードされるような描写がある一方で、サナカンの微小構成体によって人間が駆除系にされた描写もあった。技術的には、『NOiSE』でのダウンロードは後者の方法に近いのだろう。また、何もないところに駆除系造成するよりも、何か駆除系の機体に近い生物を媒体にする方がエネルギーの消費が少なくなるのかも。

・駆除系になった人間は、死ぬ? クローサーは意識がネットワーク上に乗ったけれども、これはどこまで一般的な事柄なのだろうか。あとで考えてみたい。

 

・駆除系には現し世の武器は効かない。駆除系を倒すことができる武装を持っているのは、『BLAME!』では霧亥と電基漁師、そして珪素生物。あるいは塊都の人間だったら倒せそう。ともあれ、セーフガードの武装かそれに準ずる武器を持っていないとダメ。

・ということで、裾野の刀。私はこれ実は第一種臨界不測兵器なのではないかと思っている。大規模な破壊。何でも斬れる。どこか重力子放射線射出装置と重なるところがある。使用にはタイミングがあるようだ。なんだろう。セーフガードやその技術使われている場面、あるいはネットスフィアが起動している状態でないと機能しないようになっている? ここで『BLAME!』において、霧亥が東亜重工で武器が使用できなかったことを想起したい。ネットスフィア(セーフガード)の領域下でないと機能しない。教団の駆除系はネットスフィアからデータを盗んで生まれるので、なんというか、たとえばネットのワイファイがビンビン飛んでいる状態なんだろう。そんな状態であれば、刀は起動する。電力もネット由来かもしれない。霧亥が重力子放射線射出装置の電力を、壊れた駆除系から補充したことも想起したい。とにかくネットスフィアの領域下でのみ動く兵器なのだろう。

 

・高い塔を分断する裾野。この塔は上からぶら下がっているんだよね? めちゃ人が死んでそうだが大丈夫なんだろうか? とにかく次の話で裾野は警察をクビになる。

・裾野は教団の壊滅を誓う。思うに、裾野はクローサーと恋仲だったのだろう。だから彼の行方を捜すために、上司からのやんわりとした制止にも耳を貸さなかった(もちろん子供を守るという題目もあるだろうが)。教団への復讐を涙ながらに誓うのは、クローサーへの情念があったからと想像している。あるいは片思いだったのかもしれないけど。これについてはあとの話のところでもちょっと触れてみよう。ともあれ裾野の教団(珪素生物)への執着の淵源にはそんな感情があるに違いない。