ディオゲネスの宴

漫画の紹介と、感想を書いていきます。 『BLAME!』全話紹介&解説を書いて行っているのですが、大分放置しておりすみません。

【BLAME! 全話紹介&解説】LOG9 生電社

霧亥がネット端末遺伝子を求めて生電社に赴き、シボと出合い、頭取を倒す。そしてメガストラクチャーを超えて旅立とうとする回。


・塊都。アジアンな雰囲気。看板の簡略された漢字がかっこいい。ハングルっぽい文字も見える。この都市の雑然とした感じは、何となく初代プレステの『クーロンズゲート』の世界観から影響があるように思う。このゲームでも「クーロネット」というネット接続ができたりする。そもそも、『クーロンズゲート』はかつて香港に実在した九龍城砦が元ネタになっている。塊都や、都市の連続性について、九龍城砦がモチーフの根底にあると思しい。


・生電社。でかい。塊都の政府っぽい壁の文字より断然でかい。弐瓶氏の漫画では、企業が成長して行政機構を代行するような描写がよくみられる。生電社もこの階層一帯を科学力で仕切る存在なのだろう。というか画集にそういう指摘があったわ。


・生電社では労働者が搾取されているようだが別に霧亥は彼らに味方しない。漫画の王道はけっして歩まない。


・生電社内部の警備兵。こいつもかなり強い。別の階層で珪素生物と戦わせてみたい。霧亥は戦いのさなかに落下。よく落下する男だ。


・生電社の下。なんか下水みたいなところ。ここでシボが登場。最初の形態はすでに先学が多く語りつくしているだろう。敢えて贅言しない。めずらしいのはシボの眼窩にムカデみたいなのがいることだ。この電脳世界でもじめじめした所には相応の生き物がいるんだ。ちょっと安心する。


・最初期の元気なシボの台詞。ぐっと来る人も多いだろう。勿論私もだ。この後、二人は本当にいいコンビになり、ネット端末遺伝子を見つけ出す。本当にいいコンビ。


・シボの手助けで霧亥は頭取のもとへ。「ネット端末遺伝子を探しに来た」と霧亥。そんなものはないわけだから、生電社員は笑っているわけだ。霧亥は攻撃するも警備兵の超能力がやっぱすごくて銃を持った右手をふっとばされてしまう。


・助けに来たシボ。「助けに来たわよ霧亥」。このセリフは後でもう一度。そして、シボがレベル9になってしまった後には逆に……。とにかく、霧亥を助けるシボと、シボを助ける霧亥。シボの経験に深く刻まれる出来事なのだろう。


・霧亥はやっぱ根は良い奴で、シボがついていた嘘を許容し頭取を撃つ。シボが霧亥のこと信頼するようになるのはこういうところが霧亥の根底にあるからだ。頭取でけえな。


・戦い終わった後の会話。ここで「階層」に新たな意味が加わる。「超構造体」という概念も提示される。霧亥の古代兵器によって、古代からのメガストラクチャーが破壊できるわけだ。


・シボの台詞「この階層の外から来たってこと!?」これがちょっと問題だ。霧亥の初期の旅の中でどこで階層(超構造体)を超えたのだろうか。本編では明示されていない。クモイと会った回の開けた空間。あれはかなりそれっぽくもあるが、クモイが向こう側から来れたのだから違うだろう。上位セーフガードの少年と出会ったあたりは物語の空間が連続しているので途中に超構造体があったとは考えづらい。あの四角い縦坑状の空間に出る以前、テクノ遊牧民との出会い以後に超構造体があったとしか(物語では全く触れられていないが)考えられない。つまり、犬女のいう3000階層上と霧亥が言った5000階層は登って来た、の間に超構造体があり、霧亥はそれをぶっ飛ばしてやって来たのではないか。少年セーフガードに殺された3人組の一人が、5000階層上ってきた霧亥に対し、そんな深いところはあり得ない、と言っている。これもメガストラクチャーに隔たれていたと考えるならばしっくりくる。作品初期の設定が未成熟な箇所に敢えて考察するのもあれだが、敢えて考えるならば以上になると思う。


・メガストラクチャー。明滅しているらしい。どういう風景なのだろうか。すごくロマンがある表現だ。