ディオゲネスの宴

漫画の紹介と、感想を書いていきます。 『BLAME!』全話紹介&解説を書き終え、現在は浦安鉄筋家族について書いてます。桜井のりおは神。

長崎ライチ『ふうらい姉妹』

この漫画は洒脱でシュールで面白い姉妹が主人公の四コマ漫画だ。彼女たちの奇矯がオシャレに可愛く、面白おかしく描かれる。

 

さてこの漫画も3巻まで出てきて、当初の設定やねらいだけを踏襲するのではギャグを作りにくくなっている。ギャグ漫画全般に言えることだが、連載を続けて行くにつれ最初のノリのままでは、飽きられてしまって笑いをとりづらくなっていく。

 

だから新キャラが登場するわけだ。

 

ふうらい姉妹』は、姉妹がおかしなことをするのが面白いのだが、彼女たちを困惑するような新キャラが現れたのがこの3巻だった。姉のバイト先に来た変人や、妹のクラスメートの「とうとつ君」などが3巻では登場する。姉妹は彼らに対して受け身になる。

 

不安なのはこの点だ。もともと突拍子もない行動を繰り出す側の姉妹を、さらに突拍子もなく困惑させるキャラクターは、瞬間的には笑いを産むだろう。しかし、そのままでは、わけのわからないことになる。

 

常識に対して突拍子もない行動。これは理解できるし笑いになる。しかし、突拍子もないことをしうる人間に対して行なわれる突拍子もない行動は、ギャグの行方を不確かにする。

 

ギャグや笑いがわからなくなって、病んでしまったり変になってしまう漫画がある。『ふうらい姉妹』も3巻まで来て、改めて『ふうらい姉妹』が持つ妙味を再確認する時期になっている。そんなとき「とうとつ君」などの主人公を困惑させるキャラクターは、個人的にはとてつもなく危険な存在であると感じる。