【ゾロリ5】かいけつゾロリのゆうれいせん
ゾロリでも読むか。
本作は、アーサー王子の地位と名声に嫉妬したゾロリが、前作で手に入れた海賊船を用いて、アーサーと結婚相手のイルダ姫にいたずらする…という流れになる。
いやあ、アーサー王子って本当に良いキャラだよな。ちょっとドジなんだけどさわやかで一生懸命で、イルダちゃんに尽くそうとする、まさにヒーロー的地位にある。
イルダ姫もいい感じのキャラで、ちょっとおしゃまなところがあるけれどもしっかりヒロインしてアーサーと物語を作って行く。
こうした正統派のヒーローとヒロインがいるからこそ、『ゾロリ』シリーズのピカレスク絵本としての地位が際立つ。
そしてゾロリは完全に悪なわけではない点が充分に示されることにも注目すべきだ。ゾロリはアーサーを完全に亡き者にしよう、とは思っていない。自分の想定以上の危機にアーサーが陥りそうになった時、ゾロリはうろたえる。自分はアーサーをここまで危険にさらす予定ではなかったのだ、と。この構造に担保される以上、ゾロリは悪役とはならない。
ゾロリの憎めない部分(ピカレスク的な)は、今後家族、特に母親との関係からも明らかになって行くだろう。
かいけつゾロリのゆうれいせん (5) (かいけつゾロリシリーズ ポプラ社の新・小さな童話)
- 作者: 原ゆたか
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 1989/10
- メディア: 単行本
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