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ディオゲネスの宴

漫画の紹介と、感想を書いていきます。 『BLAME!』全話紹介&解説を書いて行っているのですが、大分放置しておりすみません。

ヒトヒトリフタリ

このたび無事最終回を迎えたが、私は6巻までしか読んでない!

 

この漫画の良いところは、作品の中でのキャラクターたちが抱える問題や目的がやたらとはっきりしていることだ。主人公の春日総理は寿命が定まっていて、それが明示される形でストーリーが進んでいく。「終わり」までのカウントダウンがはっきり示されるのだ。

 

春日総理の守護霊になったのが、もう一人の主人公であるリヨン。彼女や春日が対峙することになる日本の世の中の怨嗟は、目に見えないどす黒いドロドロで描かれる。これもまたわかりやすい。リヨンはこういうのから春日を守りつつ、春日は日本のために活動する。

ヒトヒトリフタリ 1 (ヤングジャンプコミックス)

ヒトヒトリフタリ 1 (ヤングジャンプコミックス)

ヒトヒトリフタリ 6 (ヤングジャンプコミックス)

ヒトヒトリフタリ 6 (ヤングジャンプコミックス)

 

春日総理が対峙する問題は、311後の原発問題などだ。春日の周囲にはどこかで見たような実在の政治家をモチーフにしたキャラクターがおり、そのイメージ通りに活発に動き回る。とにかく論点や状態が一見して分かりやすい漫画だ。だから週刊誌でぱっと見ても興味を持てるものだと思うし、単行本でまとめて読んでも大変読みやすい。

 

そしてテンポがものすごく速い。主人公二人は加速度的に世の中の悪意に対峙し、大切な存在を守り、疲弊していく。春日の寿命が、こんな良い方したらあれだが小気味よく減少していく。8巻が最終巻になるようだが、もうあっという間。贅をそぎ落として、要点のみが洗練された漫画だ。

 

論文でも評論でも、講演でも授業でもプレゼンでも、「今何を話してるのか」「何故それを話すことが重要なのか」がはっきりしていると、大変良い表現になる。高橋ツトムの漫画は、こうしたわかりやすさと、これに加えて小気味よいテンポとを兼ねそろえたもう大変シュッとした漫画なのだ。