ディオゲネスの宴

漫画の紹介と、感想を書いていきます。 『BLAME!』全話紹介&解説を書いて行っているのですが、大分放置しておりすみません。

【BLAME! 全話紹介&解説】LOG25 ハッキング

第8空洞に戻ってきた二人。珪素生物を捕捉し、ハッキングを試みる。メンサーブたちは珪素生物と戦っている。珪素生物に捕獲されそうになったところに霧亥が到着。包囲していた兵器を破る。この瞬間にメンサーブが転送を発動。霧亥とシボはこれに巻き込まれ、どことも知れない空間へとやってくる。

 

・サナカンシボの羽。シボはかなりこの体を使いこなせているようだ。
・縦坑を飛び降りる霧亥。シボの焦った顔はちょっと珍しい。霧亥は体強いから飛び降りても大丈夫なんだろうけど、いくら抱えていたってシボも同じ衝撃を受けるはず。シボ大丈夫なんだろうか。霧亥としては妖精っぽいのを少しでも早く回復させたかったのだろう。


・サボって構造液かなんかを吸っている珪素生物。ルートバルゴバルダンバ君。画集に設定がある。お母さんのメイヴに研究者になるのを止められて串刺しにされたそうだ。
珪素生物の出自。これについては『NOiSE』に詳しい。セーフガードが発足する際、珪素主体の強力な警備兵を造作することになった。『BLAME!』世界の駆除系や上位セーフガードも基本的には珪素基系なのだろう。後に珪素生物となる「教団」は、このセーフガードの技術を盗んだ。珪素基系のセーフガードはネット経由で造成されたり、武器をダウンロードしたりする。こういうネット由来のデータを盗み自らに適用したのが珪素生物。彼らはほとんどの場合ネット端末遺伝子の保持やネット端末移植を受けられなかったのだろう。『NOiSE』では、身分の低い人々はネット端末移植を受けていないことが語られる。そういう人々が、ネットスフィアの技術を盗み適用した。作中では「カオス」の力と呼ばれている。たとえるなら多分、ネットスフィア無線LANがびゅんびゅん飛んでいる状態が「カオス」的状態と形容されたのだろう。そしてここにはセーフガードの色々なデータも含まれている。これを「教団」は盗んだ。そして珪素生物が生まれた。
・言語基体がセーフガードに似ていて、かつ人間の行なう改造と似ている部分があるってシボは言う。上記の経緯を踏まえると当然だろう。珪素生物はセーフガードと人間の間に位置する存在ともいえる。
・カオスの語。『NOiSE』でいう「カオス」はネットスフィアの無線で浮遊する膨大なデータのこと。『BLAME!』でいう「カオス」とは都市の無作為な成長を指す。
珪素生物の考え方。珪素生物は正規にネットを使用する人や、それを援護するセーフガードと敵対する。そして都市が無秩序に成長することを望んでいる。都市に寄生して生きているわけだから、都市が成長するってのは彼らの生息域が増えるってことと同義だ。だからネットを正規に利用し都市をコントロールしようとする動きを防がねばならない。東亜重工への侵入も、そうした観点からネット端末遺伝子を持つ人間、というかそもそも人間を排除しようとするために行なわれた、のだろう。ただし、自分たちの種族の発展のためらなバネット接続も厭わない。ダフィネルリンベガたちがそうしたようにね。だから統治局とは真っ向から対立しているわけではない。ということは画集に説明があった。こうした珪素生物の試みは、この漫画世界では大成功しているといえる。「ネットに接続する人間皆無」+「都市を無秩序の成長させている」という二つのシチュエーションを実現している。最初期の珪素生物がこの要件を満たしたのだろう(そしてその際に、敵対勢力として霧亥がいた? 上代からの恨みとはこのこと?)。


・メンサーブ。なんかドーナツ状の兵器で珪素生物に迫られている。メンサーブ転送で逃げちゃうけれど、このドーナツを狭めていくと逃げられないのだろう。珪素生物が寄ってたかってちょっと間抜けなようにも見えるが、メンサーブには有効な兵器なのだろう。
・シボが一生懸命に転送に巻き込まれそうな霧亥を助けようとしていて、ちょっと可愛いなって思う。

【BLAME! 全話紹介&解説】LOG24 第8空洞 THE EIGHTH CAVE

セウがメイヴを両断。しかしセウも負傷。メンサーブとともにいったん退く。そのころ霧亥たちは妖精っぽいやつらにメンサーブをなんとかするよう依頼された。会話の中で、現在地は東亜重工第8空洞であることが判る。別の空洞のAIが正常である可能性に賭け、霧亥たちは第7空洞を目指す。途中メンサーブの妨害があり、かつ妖精っぽいのの電力が途切れたために、再び第8空洞へ戻る。

 

・セウ強いっすね。メイヴを分断しちゃった。イヴィが怒ってる。彼らは夫婦。珪素生物はとても感情が豊かだ。ひっそりと都市で生き延びる人間なんかよりも、よっぽど種族として都市世界の環境の中で謳歌しているような印象を受ける。ブロンもテンション高いし。


・あの妖精っぽいやつ。ちょっと疑問なんだがこれはどういう生き物なんだろうか。無生物? なんでも作れる機械のメンテナンスを業務にしている。なんというか、この生き物に対してシボも霧亥も優しすぎないだろうか。第8空洞から出た時、彼らは機能停止してしまうんだけれど、シボはこれを一大事と捉えてもとの空洞に戻ろうとしている。なんというか、後から戻るので良くない? あるいは無視して進んじゃダメなの? と考えてしまう。霧亥も戻ろうと言う。この妖精っぽいのはなんなんだ。なぜこんなに二人は大切にするのか。空洞を行ったり来たりで一貫性が無く、この辺りかなり違和感がある。

・ということで本作ではほとんど他の空洞については触れられない。他のAIはどんな感じなのか、空洞ごとに違いはあるのか、全然語られない。こういう、すべてを語りきらないところはとても贅沢な構造だ。

・妖精っぽいのによれば、メンサーブは珪素生物が侵入するまでは正常(優しい)だったようだ。メンサーブがつくられた頃は珪素生物なんていなかっただろう。珪素生物はネットのカオス的な部分を利用し身体を生成している。こういう想定外のそんざいに対峙せねばならない時、いくら優秀なAIであっても、はなかなか上手く順応できないのかもしれない。


・何でも作れる機械。すごいね。シボも驚いている。そしてシボはこれをいじっている。好奇心が旺盛だ。また自分の新しい体を試す意味でもやってるんだろう。さらに自分の体に都合のいい栄養剤をつくる上で、自分でやるのがベストと考えたんだろう。メンサーブが迫る中、シボがもう一個あわてて何かをつくった。これ何作ったんだろう。個人的には多分防磁繭だと思う。 

【BLAME! 全話紹介&解説】LOG23 電基騎士


珪素生物と戦う霧亥&シボ。劣勢。そこに東亜重工の情報処理機構メンサーブと護衛のセウが登場。霧亥たちは謎のワープで戦線離脱。セウと珪素生物との戦いに。霧亥たちは逃れた先で妖精みたいな連中に助けられる。

 

東亜重工内ではセーフガードの武器は使用不可。


・戦い。シボを守る霧亥。読み返してみると、やっぱりこの辺りかなり霧亥がシボを庇っている。改めてわかった。結構シボ助けられてるんだなー。これが物語後半に響いていくわけだ。


・イヴィの武器。なかが折りたたみ式になっていて伸びる。メイヴの方は突起物を突き刺す感じだ。シボが串刺しに。


・メンサーブが登場したあとのワープ。シボと霧亥が居なくなる。これがわからない。これずっと、メンサーブがやったのかと思っていたが、「何の事だ?」とメンサーブは関知していないようだ。じゃあ誰が霧亥たちをワープさせた? あ、この後出てくる妖精たちかな。これも多分違う。大胆な推測になるけど、中央AIが時空を変えたんだと思う。理由というか目的は、霧亥たちが展開していく通り、重力炉を停止させるためだろう。霧亥たち外部の要素に介入してもらって、世界線も何度か変えながら、とにかく重力炉を一度停止させた。これが東亜重工AIにとって大事だった。詳しくは追々考えていこう。

珪素生物たちもメンサーブたちには苦戦しているようだ。台詞からも警戒の度合いがうかがえる。

【BLAME! 全話紹介&解説】LOG22 東亜重工 トウアジュウコウ

東亜重工の中を探索する二人。服を見つけたり、地図にアクセスして管理がAIだと判明したり。その内に珪素生物と出会う。

 

・シボの回復を待ってあげる霧亥。ほんと霧亥ってコミュ障だけどちゃんと待ってあげるんだよね。

東亜重工内の電基漁師スーツ。霧亥の体格に近いってことは、おやっさんたちの部族より大きめに作ってあるのだろう。おやっさんたちももともとは霧亥と同じくらいの体格だった? アフリカの草原にいる象と密林にいる象との比較がわかりやすいんだけど、草原の方が象は大きい。これと同じで、東亜重工の外の方が都市が密集しているんじゃないだろうか。要は狭いってこと。だから世代を経る中で体が小さくなる。スーツもそれに合わせた? スーツはロストテクノロジー化したとは書いてなかったはず。ここから想像すると塊都人って労働者ですらめっちゃ身長でかいけど、これはきっと塊都が比較的開けた空間な上に、栄養状態なんかも非常に良好なんじゃないだろうか。

東亜重工の情報処理機構。シボがアクセスします。AIにこういう統御を任せるのは危険なのだそうだ。弐瓶漫画ってこういうところすごく徹底していて、人工知能を単独で存在させない。あるいはなんらかのシステムの最高責任者にしない。本作のドモチェフスキーとイコ。二人で討議しながら防衛している。『バイオメガ』の東亜重工のエージェントもかならず二人一組。多分これは間接的には珪素生物が二人一組で行動するのも同様の理由。このAI(というかそれに類するもの)を討議させる仕組みは弐瓶漫画に徹底している。「論理矛盾」を回避すべきと考えている。それともう一つのテーマ「知育」についてもここで語っておきたいが…まこれはまた今度だ。東亜重工の情報処理機構は弐瓶漫画には珍しく単独AIで、これが東亜重工の危うさに直結している。と少なくともシボは考えている。

・シボのAIに対する認識。とても危険なものだ、と考えている。シボの時代には当然の認識なのだろう。東亜重工が出港した時代にはそうではなかった。そしてもしかしたら大抵の場合は上手くいっていたのかも。シボは割とAIに厳しくて、メンサーブの機嫌を悪くする描写がある。シボはコミュ力高いし科学者だからAIに対する処理もお手の物だろう、と思うけれども、メンサーブの機嫌を損なう。この後に出てくる描写だけど、シボがコミュニケーションで失敗する(相方はいっつも失敗しているが)珍しい例だろう。

 

・シボ。ちょっとずつ体の使い方を覚えてきたそうだ。嬉しそうな顔を見せる。


・イヴィとメイヴ登場。東亜重工の住人を殺戮している。ネット端末遺伝子を持つ可能性がある住人を殺害しているようだ。カオスの拡大の一環なのだろう。うーーーむ。こいつらどこから来たんだろうか。それと来てからどれくらい経ったんだろうか。参考になるのはアンオフィシャルメガストラクチャーでの珪素生物と綸旨セーフガードの戦いだ。256年戦っている。イヴィたちもこれくらいのスパンで浸食している? セーフガードがサナカンを派遣したり霧亥を復活させようとしたのも彼らが東亜重工に出入りしているからだろうか。

・イヴィの台詞①。霧亥にあったことがある? 久しぶりだな、と言っている。霧亥が記憶ないのも知ってる様子だ。また最近もまた仲間にひどいことしたそうじゃないか、との言。ジェリタニウスとメタジィーニとの一件を知っている? こういうところから見ても、珪素生物ってかなり広範囲にネットワークを持っていて、ともすれば超構造体も気にしない存在なのではなかろうか。

・イヴィの台詞②。霧亥に対して上代からの恨みがある。霧亥は珪素生物から相当恨みをかっている。それも昔から。どこかの段階で、私の予想だとセーフガード時代に、相当の珪素生物を殺したんじゃないだろうか。物語後半のサナカンみたいに。霧亥の側も、珪素生物を恨むようななにかがあったのかもしれない。

【BLAME! 全話紹介&解説】LOG21 混生体 ハイブリット

集落の人々が入っていった入口は、駆除系がいじくって入れんくなった。ということで別の入り口をさがす霧亥とロリ。ロリシボのなかのサナカンが暴走しそうになるけど、霧亥はそれを東亜重工にぶん投げる。東亜重工ではセーフガードは活動できないのでシボの意識だけが析出された。

 

・この話。シボが「サナカン」と叫び、サナカンが「霧亥」と叫び、霧亥が「シボ」と話しかける。これで充分やりきった話。私の言いたい事もだいたいこれで言い切った。すげーSFっぽい。かっこいい。

・俺のシボがすごい調子が悪そうだし元気が無い。シボ、今まで生電社のデバイスを駆使して生活してただろうしここまで冒険してきた。これを一気に失ったわけだ。新しい体にはなんかサナカンもいるし全然まだ慣れていないのだろう。ここからちょっとテンション低めなシボが続く。

・それと体がちっちゃくなったためか、この辺りからシボは結構霧亥に助けられる場面が多くなる。シボのことだから一緒に旅する以上足手まといになりたくないだろうし、ハイスペックな霧亥と遜色ないように活動したと考えているはずだ。それが充分にできなさそうなのも元気が無い理由だろうか。

【BLAME! 全話紹介&解説】LOG20 禁圧解除

シボの妨害工作が失敗し、駆除系や大嚢王が復活。霧亥は駆除系を退け、大嚢王を重力子放射線射出装置の禁圧解除で倒す。集落の人々は何とか東亜重工内部への侵入を試みる。禁圧解除で起こった大破壊の後、落ちた場所から現場に戻った霧亥。そこには少女サナカンに転生したシボ。

 

・禁圧解除。大嚢王にも機能としてあったのかもしれないけれど、使った描写があるのは霧亥と、多分サナカンも。多量に電力を使うのだろうか、霧亥は駆除系から電力を供給する描写がある。電力の供給について、霧亥はどこからともなく特別の恩恵を受けていると画集にはある。ここでは機能が復活したばかりなのでその経路は使わず、近辺の電力を利用した? 個人的には電力はすべて自前な気がするが……。


・シボが死んでいるのを見かけた霧亥。険しい顔をしている。そのあとも目をつむってぐったりした描写もある。珍しい。長い旅の中、シボの事どう思っているのだろう。のちのち考えていこう。


・シボ。サナカンに自分をダウンロード。多分搬送機から基底現実に行った際にいろいろと選択肢があっただろう。例えば駆除系にダウンロード。例えば大嚢王にダウンロード。でもこれらじゃ多分不便だったりダウンロードできなかったりするだろう。一番人間に近いセーフガードの機体。それがサナカンだった。それも人間に偽装した少女態。それが選ばれた。これがシボにとって最も動きやすい素体だったのだろう。ロリシボ誕生じゃ!

【BLAME! 全話紹介&解説】LOG19 予備電子界

シボは意識を失う。予備電子界に。ここで統治局に促され、セーフガードの電子輸送を妨害する。基底現実ではサナカンと霧亥の死闘が続く。

 

・始めのページの外観。霧亥たちは大活劇を繰り広げているけど、広大な東亜重工から見るとごく一部の事象であることがわかる。煙がぼんやりとしか見えない。どれだけこの空間は巨大なのだろうか、と想わせる。面白い描写。


・予備電子界。不思議な空間だ。シボは霧亥と接続したからここに来れた。これ、霧亥がセーフガードだったから? システムの密使だったから? 繋がったことで何か要件を満たし、シボはここへやってきた。そしてまず、やってくる前に、死んだ。シボはこれで死ぬのは2回目。シボの死と転生についてはすでに先学が述べているので深く立ち入らないが、まずここで死んでる。統治局が死ぬことを「個性が消滅する」と表現しているのは面白い。

・セーフガードの搬送機。これで基底現実にいろいろと送りこんでいるようだ。非常にヴィジュアル的で判りやすい。そして妨害の方法も触るだけ。実に判りやすい。

・シボのこだわり。電子体で永久に存在することは絶対に嫌。多分それも良いっていう人も多いと思う。ただシボはそうじゃない。死を厭わないし、残った人々が心配なのだろう。シボの考え方がよく分かるシーン。

・シボの妨害によってサナカンがヘドバン。そのまま霧亥に倒される。駆除系も大嚢王も機能停止。常時電力なりなんなりでネットからエネルギーを得ていたようだ。

・シボの統治局への質問。霧亥はセーフガードなのか? シボ気になっています。こたえはノー。霧亥はセーフガード以前のシステムの密使だという。これだけでは答えに全然なっていないのだが、画集にも、その他外伝などにも比較的ヒントは多い。『NOiSE』では、セーフガードの設立経緯が語られる。もちろん設立以前にもネットの治安を守る組織はあっただろう。弐瓶氏のデビュー作『BLAME』では霧亥と言う警官が活躍する。画集にも言及がある通り、霧亥は元来こうした治安を維持する職にあったのだろう。そしてセーフガードができた。裾野結がセーフガードのエージェントになりかけて、からくも脱出したように、セーフガードもいつも完璧にエージェントを輩出してきたわけではない。そして、本作で明らかな通り、セーフガードはマイナスに働いてしまう危険性が多いにある。セーフガード発足前後からこうした危険性が考慮されていたのだろう。セーフガード以前の治安維持のシステムから、セーフガードに対してスパイのような形で送り込まれた人物があった。彼ならば、セーフガードが暴走した時にセーフガード以外の思考回路でセーフガード内部で動ける。それが霧亥。きっと語られないたくさんの物語があって、裾野結がカオスの暴走を止められなかったのと同じく、霧亥もセーフガードの仕組みを止められなかったのだろう。

 

・シボが頑張っていると、セーフガードがやってきて妨害工作は頓挫する。シボ完全に死んだかと思いきや、近くのセーフガードの乗り移っちゃった。これすごいことだ。シボの元来の機能だろうか。多分そうだろう。咄嗟にやってしまっている。搬送機の乗って基底現実へ。で、詳しくは次の話だけど、サナカンにダウンロードしちゃう。自分を。